北タイの温泉巡浴取材の旅
その2
2004年8月24日〜28日   

C1年で様変わりのバーン・ノーンクロック温泉へ

 8月26日(木)
8時45分に山内氏とロビーで待ち合わせ、すぐに山内氏の車で出かける。チェンマイ(Chiang Mai)から国道107号線を北上。山内氏の用事でフォーシーズンホテルに立ち寄る。ロビーを抜けて見下ろすと田んぼが眼前に。この田畑ごと丘全体をホテルの敷地に利用したのだ。このあとMaetengメーテンに住む山内氏の家に立ち寄る。同じ造りの並ぶ住宅地で、屋根付テラスに母屋の20坪ほどの土地付で300万円だという。2才の娘・真弓ちゃんは私立の保育園(送迎付8時〜16時・1300B)で留守、奥さんが洗濯中。

 チェンマイからチエンダオ(Ching Dao)68キロ、左手に標高2175mのチェンダオ山が威容を現す。さらにPing Khongを右折し県道1150号線を23キロ走る。このあたり走行車はほとんど無し。原生林を突っ走る。マグアン(マンゴー)果樹園が多い。山内氏は「去年来たときは展望の良いいい温度だったが、友人がその後行ったら、熱くて入れなかったよと教えてくれた。温泉は生きているから、季節によって源泉の温度も変わるんだ」といいながら、運転。アングーパラオの小集落の角に温泉マーク看板があり、そこを左折3.7キロ、さらに1.2キロを左折すると丘の中腹に・・・。山内氏が「あれ!うそっ」と叫ぶ。なんだなんだ・・・。入り口に「NONG KHROK HOTSPRING」バーン・ノーンクロック温泉と書かれている。

   
龍の姿がくねくねと

東屋風の建物
   
                   下流には立派な3棟の建物
 上流から流れる温泉の池が幾つかあり、それに沿って赤と黄色でどきつく配色された龍の姿がくねくねと温泉を守るかのように防壁として寝そべっている。熱い湯(80度はあるか)から徐々に下流に流し冷まし、5つ目の池がようやく入浴できる温度となる。展望地には東屋風の休憩所があり、下流には立派な3棟の建物がある。右端の建物は、両脇に浴室があり、縦1.8m×横2.5m×深さ1mのシャワー・石鹸付湯船があり、入浴料は30バーツ。隣の棟は、左側に縦40cm×横1.5m×深さ1mの湯だめの手桶付浴室が3ヶ所、入浴料は10バーツ。右側にはシャワー室が3ヶ所。右端の棟は、便器に水を汲んだバケツを置いた男女別のトイレ。深さ1.5mの浸透式のようだ。

シャワー・石鹸付湯船 

手桶付湯船 
 近くにぶらぶらしている監視員?の男性に聞くと、昨年11月に村が造ったという。週末のみの入浴料徴収だそうで、私は早速入浴と写真を撮ってもらう。この暑い気候に最高の気分と言いたいが、やはり自然の露天風呂がいいなーと贅沢な望みか。
 温泉は無色透明でかすかに硫黄臭がある。山内氏は「こんなに変わったのか・・・。野趣に富んだ天然の露天風呂が最高だと思っていたのに・・・。これじゃ、また訂正の記事を書かなきゃ・・・。」最下流の温泉貯蔵所からパイプがさらに下流に配管されている。「これは何だ?」と帰途、確かめようと何人かの村人に聞きまくる。どうも乾季(11月〜5月)対策の用水として利用するようだ。近くにぶらぶらしている監視員?の男性に聞くと、昨年11月に村が造ったという。
 週末のみの入浴料徴収だそうで、私は早速入浴と写真を撮ってもらう。この暑い気候に最高の気分と言いたいが、やはり自然の露天風呂がいいなーと贅沢な望みか。温泉は無色透明でかすかに硫黄臭がある。山内氏は「こんなに変わったのか・・・。野趣に富んだ天然の露天風呂が最高だと思っていたのに・・・。これじゃ、また訂正の記事を書かなきゃ・・・。」最下流の温泉貯蔵所からパイプがさらに下流に配管されている。「これは何だ?」と帰途、確かめようと何人かの村人に聞きまくる。どうも乾季(11月〜5月)対策の用水として利用するようだ

             



 D素手で河原を掘って入る「ピン河川原温泉」

 県道1150号線を戻る途中、10人もの山岳民族の女・子供達が路上でテングタイ(うりの一種)を売っていた。瓜の大きさや色彩が多彩で美しい。近くにバイクが2台転がっている。「2台のバイクで10人乗れますかね?」と聞くと山内氏は「大丈夫さ。両膝に2人、前に2人、後ろに2人乗っているのを見たことがある」

     
              
テングタイを売っていた

 国道107号線に戻り、左折して200m、さらに右折して200m行くとピン河川原に出る。「こんなところに温泉が?」といぶかる私をよそに、山内氏は河を覗き込む。近所の飼い犬か、なれなれしく足に摺りより、ふくらはぎを舐め始める。河にはコンクリの湯船が離れて二つあり、河が増水した濁流で水かさを増し湯船の中は濁っている。手前の湯船?に手をいれても水状態。「こりゃーだめだ・・・」と思いきや、彼は「この河原の砂地を掘ると熱い湯が出るんだよ」


ピン河川原に

コンクリの湯船
早速素手で濁流にのまれる砂を掘る・・・。
 確かに場所によってはとても熱い!火傷しそうなほどだ。「ここを掘って何とか入浴できないか」と必死にお尻が入るように穴を広げる。
 50cmほどの穴にお尻を入れ、横たわる。角度によりお尻が熱い!何とか写真を撮ってもらう。日本で言えば、尻焼温泉とか川湯温泉といったところか。


 先ほどのなれなれしい犬は、何度も足を踏ん張って濁流河に入り、水を飲んだり、おしっこをしている。こうした場所でのおしっこが病み付きと言わんばかりの様子だ。

50センチほどの穴にお尻を入れ

 山内氏はこの温泉を「ピン河川原温泉」と呼んでいる。無色透明で無臭。せき止めると高温で相当の湯量があると思われる。わずか15分の滞在の駆け足取材・入浴で14時15分に出発、次の目的地ボーン(グ)アーン(グ)温泉Pong Ung HotSpringへ向かう。



E国立公園内の露天風呂「ポーン(グ)アーン(グ)温泉」
 ポーン(グ)アーン(グ)温泉へは、国道107号線に戻り左折し、北に数キロ行くと三叉路を左折し県道1178号線に入る。ムアンガーイの町の辺りは異常に広い、滑走路にでも使おうかというような整備された道路で驚かされる。左手にはチエンダオ山が聳える。

田舎風タイ焼きそば
20キロほど行ったHuai Saiを過ぎた辺りで、遅い(14時28分)昼食をとることにする。
 左手に寺院がある反対側の小さなタイ食堂。山内氏は1度利用したようで、「ここの田舎風タイ焼きそば(パッタイ料理)にしよう」細麺にスライススモーク豚肉とモヤシを盛ったヤキそば。麺の中に粟かきびののような物が入っていた。香辛料は辛いので、恐る恐る調整してかける。

 チェンダオ山の北側の県道を少し行くと左折する角に「チェンダオ国立公園」の看板がある。
 この公園内に温泉施設があるというのだ。4年前にオープンしたばかりで、余り知られていないのか、シーズンオフで寂しいのか・・・人がいない。タイを車で走っていて看板がとても少ないことに気が付く。日本の看板の洪水に慣れているせいか、こうした大自然の案内標示に逆に不親切に映る。
 ゲートには遮断機がおり、若い女性が監視?している。山内氏は車から降り、何かと話をして戻ると、彼女は遮断機を上げて、我等を通してくれた。
 「取材に来たことにしたので、無料で入れてくれた」入園料は、タイ人が大人20バーツ、小人10バーツ。外国人は同じく200バーツ、100バーツ。実に10倍だ。車両通過・駐車料金が自転車10、バイク20、普通乗用車30、6輪大型車100、10輪以下の大型車200バーツ。(タイでは大型自動車の種類をあらわすのに、タイヤの数で呼ぶ習慣)

若い女性が監視?

駐車場の真ん前に研修所 

シャワー付更衣室 

 駐車場の真ん前に研修所があり、その裏の林に入っていくと、正面に露天風呂がある。脇にシャワー付更衣室が4室と別棟に有料ジャグジー風呂があるが、オフシーズンのせいか鍵がかかっている。露天風呂の湯は上流から流れて、40度くらいに温度を下げ、入浴にはちょうどいい湯加減だ。先に源泉のある上流に行くと、58度の表示板のある源泉湧出池と50度の池があり、そこから温度を下げるように徐々に下流に流れて、露天風呂に行き着くというわけだ。

   
                     58度の表示板のある源泉湧出池
 源泉湧出池に隣接して、水の池もあるが、地下水脈はどうなっているのか不思議だ。われわれ以外に客はいないが、一応周りを見渡した後、裸になって露天風呂に「ザボン」と入る。

   
 目線は低くなり、原生林の大自然露天風呂入浴は、いっそう開放感を感じさせる。3m×7mほどの岩風呂で、中心部の深さは70センチほど。無色透明・無臭だが、この岩風呂では幾らか緑色っぽい。底には落葉が沈む。帰りに監視人に聞くと、シーズン中は毎日清掃をするという。今はオフだからしばらく清掃をしていないということか。シーズン中(11月〜2月)は、結構人が来るが、勿論水着着用の混浴お湯浴び遊びということだ。国立公園内に温泉施設があり、これほど整備されているとは、驚きだ。


F思いがけない大自然の混浴体験「バーンヤーンプートッ温泉」
 今回の取材で最後の温泉地、バーンヤーンプートッ温泉に向かう。16時に国立公園を発つ。両側の果実園を抜け、県道1178号線を戻り、Mae Cha経由でさらに国道107号線に戻り6.8キロ走り、チエンダオ市内からチエンダオ山登山道口方面へ右折して約5キロ入る。この地方で有名なチエンダオ洞窟が突き当たるが、その1キロ手前で左折する。約3キロで森林野生動物管理局のゲートに出る。

  
 無人のゲート前に車を止め、山内氏は周辺を案内する。ゲート横に大きなタライ大の水溜りから、熱湯が湧き出している。源泉があちこちにあるようで、川畔に大岩のそばに直径1.5m×深さ1.2mのコンクリ造りの輪を二つ重ねた湯船が置かれている。源泉から管で湯が引かれ、とうとうと湯船に注がれている。大岩の底からももう一本注がれ、川に合流している。東側の小川からも湯が流れ、白く湯ノ花が漂っている。湯は無色透明で硫黄臭がある。


     
                 
源泉があちこちに 

 実はこのコンクリの湯船は、山内氏ら温泉好き日本人が今年(2004年)1月に有志を募り個人一人当たり100バーツと法人から集めて人力で造ったという。このコンクリの湯船を運ぶのに大人が10人で二つに分けて運んだ難工事だった。ここから車で20分のところに住む日本人のT氏は、毎日朝風呂を入りに来て、入浴後湯船の栓を抜き、掃除をして帰るとか。出来上がってしばらくすると、欧米人に「コンクリでこんなものを造って、自然破壊でけしからん!」と抗議されたとか。日本人の自前で湯船を造り、「いやー。いー湯だな」と極楽の境地を楽しみたいという気持ちとのギャップはいかにも大きい。
  

温泉3点セットを持ってきたよ

黒い長袖のシャツにジーンズのまま・・・
 山内氏は「温泉3点セットを持ってきたよ」と車の荷台から、大タライ、バケツ2個、手桶2個にタワシを取り出す。岩に脱いだ着物を置き、山内氏がコンクリ湯船で入浴後、近くの大岩からの湯で頭と体を洗いだした。私は湯船でゆっくり川原を眺めながらの入浴。川原の対岸は山岳民族の民家で、家族連れの親子が近くまで来て、川の水で石鹸を使い体を洗ったり、歯を磨いている。山内氏が「こっちへ来て、お湯につかったら」と声をかけるが、川の方がいいらしい。そのうちにバイクで来た女性の二人連れが様子を見に来て、若い女性が私の入っている湯船に入ってくる。黒い長袖のシャツにジーンズのままでだ。そういえば、マレーシアでも水着着用のプールでは、洋服を身に着けたままで、入っている人が珍しくなかった。彼女の許可を得て、山内氏に露天風呂での混浴ツーショットを撮っていただいた。


露天風呂での混浴ツーショット 
 そのうち、別の女性グループの一人が、空きペットボトルを持って、湯を汲みに来たので、山内氏に「どんな使い方をしているのかを聞いて!」山内氏「おじいさんに飲ませると言っていたよ」飲める温泉水なのか解からないのに、大丈夫か?もっと効能を聞いてみたかったが・・・。
 着のみ入浴の彼女は、今度は川の水で水浴びを始めた。18時頃の気温も下がり始めたこの時間帯、寒くないのかと心配をする。そのままバイクの二人乗りで帰っていった。自宅はバイクで20分のところで、よく来るそうだ。



 最後の温泉地を18時頃発、チエンマイまで1時間30分はかかる予定。途中の車中を居眠りで過ごし、山内氏に申し訳ない。市内の本屋で、チエンマイ北部の詳しい地図を買い求めホテルまで送ってもらう。夕食にそろそろ日本食をと思い、彼に「ホテルに近い美味しいところはどこ?」と聞くと2年前にバンコクから来たという「道楽」を教えてくれた。

 徒歩で20分ほどの「道楽」へ。2階の店でカウンターに座り、蛸刺し、天ぷら、大きなカレイの唐揚げ、日本盛りの冷酒を頼む。暇なせいか、すぐカウンターにオーナーの福光裕氏が話しに付き合ってくれた。すずきの刺身を頼んだら、「今日のすずきは味が良くないので、お薦めできない」と言われた。良心的な店と知られているようだ。四方山話に時間が過ぎるのを忘れてしまう。


8月27日(木)は、14時ホテル集合になっていて、タイ画を購入する為にホテル前にたむろするトゥクトゥク(オートバイに客席がついているタイ独特の乗り物)に交渉。40バーツでまとまるが、彼はタイ画がどこにあるかが解からない。そばにいる仲間や通行人にも相談してようやく出発。

彼の名は「ミスターMay]いかつい男だが優しい名前だ
 彼の名前は「ミスターメイMay」いかつい男だが優しい名前だ。最初はアートギャラリーに行き、希望の画風の絵が無く、次へ移動。ギャラリーを散々探したが見つからず、案内された場所が、昨日行ってきたワット・チュディ・シンの境内だ。露店で売っている画家のところだった。境内は車の駐車でびっしり。

 タイでは前の車に付けて、サイドブレーキをかけずにキーをかけて駐車する。前の車が出るときには、邪魔な後ろの車を押して移動して、抜け出すのだとか。
 狭い場所でのタイ式マナーなのか? 次に「骨董店は?」との私の提案で行った場所が、郊外の大きな美術品店。だがここにもタイ風の私好みの絵が無かった。 諦めて残りの時間は、2時間のタイマッサージのためにとった。400バーツのところを、メリーのために20バーツを負けさせて、彼にあげて待たせた。ゆったりとした全身のマッサージで、至福のひと時で、半分は寝ていたと思う。


 14時に迎えに来た車で空港へ。TG113便15時25分発でバンコクへ。16時45分着、到着口で女性のガイドに迎えられる。ワゴン車を運転するハイライト・アジアの社長との対話でゆかいに過ごしながら、THE EASTIN BANGKOK HOTELイースティンバンコクホテルへ到着。ムエ・タイにでも行こうかとも思ったが、3,000バーツというので、それは高いと断り、タイ画探しと食事で過ごすことにした。ガイドさんの名前は、奇しくもメイーで、ガイド職について間もない新米ガイドか。デパートの絵画部で幾つか見て、ほしいのは5万〜50万するので、手が出ない。安い700バーツのを1枚手に入れる。ラッチャダ シーフード レストランでカニ料理やトムヤンクンを食べる。本場のトムヤンクンは流石に辛い。
 ホテルはマッカサン駅と戦勝記念碑の間にある高速道路のそばで、新しいが深夜の車の騒音がうるさい。朝食はチエンマイのエンプレス・チエンマイの方が多彩だった。


 翌8月28日(土)は、いよいよ帰国。5時起床、5時30分朝食、6時ホテル発、バンコク国際空港8時35分JL708便で出発。成田16時35分着。をすごすことができた。 6時間の機内では温泉取材の原稿の整理に集中し、つらい思いをしないで時間を過ごすことができた。
(2004.9.18記 取材マツノヒデマサ)

その1


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写真の位置は

C1年で様変わりのバーン・ノーンクロック温泉へ


どぎつく配色された龍の姿が    073


東屋風の建物    072


下流には立派な3棟の建物 095


D素手で河原を掘ってナイル「ピン河川原温泉」


テングタイを売っていた 100



E国立公園内の露天風呂「ポーン(グ)アーン(グ)温泉」

  120


58度の表示板のある源泉湧出池  128



大自然露天風呂   132



F思いがけない大自然の混浴体験「バーンヤーンプートッ温泉」

ゲート前に 135



源泉があちこちに  140



「源泉3点セット」147



黒い長袖のシャツに・・・  143



露天風呂の混浴   141



8月27日(木)

「ミスターMay]いかつい男だが  163


安い700バーツのを    170


マツノヒデマサの海外温泉珍道中