マツノヒデマサの温泉巡浴の旅
琵琶湖八景「竹生島」詣で、
新春天橋立・小浜名刹めぐりと温泉巡浴
2005年12月31日〜2006年1月2日 
  
 年末の恒例の海外旅行に替わって国内の旅行になった年末は、クラブツーリズムのツアーに参加することとなった。宿泊地は琵琶湖畔の長浜温泉長浜ロイヤルホテルと宮津温泉天橋立宮津ロイヤル、他に昼食地で天橋立温泉ホテル天橋立の入浴もしてきた。竹生島、小浜、天橋立の観光は初めてなので、楽しみにしていたところだ。

 東海道新幹線で米原駅に着くまでに、東京駅で調達した駅弁当を食べる。まあこれは風情があっていいものだ。米原駅で下車し、改札口を出たところでガイドさんに会い、観光バスに案内される。丹後海運交通バスといういかめしい名前のバス会社だ。ドライバーは高野さん、ガイドは高橋さん。そうそう添乗員は、30代の男性で尾崎さん。米原の冬季は雪が多いとはわかっていたが、長浜に着いてもまわり一面雪化粧とは驚いた。

 最初の観光場所、黒壁スクエアは年末でほとんどお休みで、「10時から営業」との張り紙は、元旦の10時開業というわけだ。いよいよ遊覧船で、13時15分に出発して竹生島へ行く。3km先の竹生島に30分かかる。年末なので、大勢行くのかなと思いきや、われわれのグループ28人がほとんど。断崖絶壁の周囲2km花崗岩の島に到着。

    
                  
竹生島へ行く

 竹生島には宝厳寺と都久夫須麻神社があり、太閤秀吉ゆかりの華麗な桃山文化を邂逅することができる。正面に宝厳寺唐門(国宝)と連なる船廊下(重文)、本堂・弁才天堂、三重塔、宝物館と続き、右手下に都久夫須麻神社本殿(国宝)が樹木に隠れてみえる。

宝厳寺唐門(国宝)

本堂・弁才天堂

船廊下(重文)

都久夫須麻神社本殿(国宝)
本堂弁財天のご本尊は60年に一度のご開帳とかで秘仏、左手に永禄8年(1,565年)、右手に慶長10年(1,605年)の弁財天が並ぶが、年代の古い左手側の方がより精密に彫られているように見える。60年に一度とは今度はいつか?と気になるところ。次に宝物館(入館料300円)に入館し、受付の方に訪ねる。「私にも判らないんです。長浜市を退職して3年余りで・・・。江戸時代に消失した三重塔を7年前に再建した時(平成12年5月24日)、あと三十余年あると聞いたことがあります。」

 宝物館には天狗の爪、曼荼羅絵、唐服着用の四弦の琵琶を奏でる弁財天像、竹生島最古の不動明王坐像、胎蔵界大日如来坐像など興味をそそる。国宝の唐門・観音堂とそれに連なる秀吉の御座船「日本丸」の船櫓を利用して作られた舟廊下(重要文化財)を渡って、都久夫須麻神社本殿(国宝)に参拝。本殿は「日暮御殿」といわれた伏見城の建物を神殿として寄進されたもの。本殿から若い二人が海(龍神様)へ雪の塊でかわらけ(土器)投げをしているのを眺めてから、船乗り場へ向かう。雲ひとつ無い晴天の竹生島だったが、売店がすべて閉ざされ寂しい参拝となった。

 
 長浜ロイヤルホテルは船着場から歩いて3分のところ、かつて長浜に初めて温泉が出た頃、1989年10月に国民宿舎豊公荘で温泉入浴をしたことがある。茶褐色の温泉で、印象深い温泉であった。須賀谷温泉などこの地方の温泉は基本的には同じ成分らしい。フロントマネジャーの桃井健二氏は「露天岩風呂はよそとは違い、温度が低いので加温ですが、源泉掛け流しです」という。3年前からの温泉引き湯で、実は20年前から掘ると出るといわれながら、業界(?)の許可が出なかったという。4m×8m浴槽の大浴場は温泉ではなく、沸かし湯である。露天岩風呂の21.7度の温泉は総鉄イオン泉で、効能は神経痛、貧血症、リウマチ、婦人病など。源泉は無色透明なのだが、空気に触れると酸化して茶褐色に変質する。大浴場には、サウナ、アカスリコーナーもある。大浴場入り口には、マッサージルームがあり、肩と足のマッサージをしていただいた。
  
         
ヨットが並ぶ美しいマリーナの海を11階から見下ろす
 11階フロアの私の部屋は「備長炭いやしのルーム」は、室内に吊るされた備長炭が合計30本もあり、特に窓側に吊るされた5本組のものには、木琴のばちが下げられていて炭を叩いて、美しい音色を楽しめるという寸法だ。室内には無料のマッサージ機がある。また、ハローキティでいっぱいのキティちゃんルームもあるアイデァのホテルだ。11階から海を見下ろすと、ヨットが並ぶマリーナが美しい。
 夕食は二階の和風宴会場・伊吹でいただいた。畳敷きにテーブル椅子の高齢者時代に対応した趣向だ。

備長炭の美しい音色が楽しめる
食前酒、子持若芽、伊勢海老に鮪のお造り、鰊昆布巻きと湖北野菜の煮物、鰆(さわら)の西京漬、鴨鍋、年越し蕎麦、松葉蟹、茶碗蒸し、吸い物にご飯、果物はメロンにいちご。お酒は地酒の「七本槍」をいただいた。伊勢海老のお造りは絶品だった。


 食後は売店を一回りし、正月3日間営業しているという占いを見てもらう。日本占術士会会長の山本聖雲氏で、2006年の私の運勢は大吉の卦とか。午後9時からはロビーでビンゴ大会があった。一枚千円で購入し、外れても千円の商品券として使える。翌日は、二階のロイヤルホールでバイキング。お正月らしく奥の舞台ではお琴と尺八の生演奏付。お料理もお正月にふさわしい黒豆・田作り・にしめ・数の子・なます・紅白のかまぼこ・伊達巻などが揃う。焼カレイが美味しかった。
 

 新年も快晴で従来の天気予報が外れた。8時30分に出発。長浜インターから北陸道を敦賀インターまで走る。国道27号線を西へ若狭湾・三方五湖を抜ける。最初見学地の小浜の明通寺は、雪一面の景色で駐車場も雪で埋まり駐車できないほど。

明通寺本堂 

三重塔も国宝で、ご本尊の薬師如来座像
明通寺本堂は、山の傾斜に建てられた鎌倉中期の単層入母屋造り桧皮葺の国宝建築物である。三重塔も国宝で、ご本尊の薬師如来座像と不動明王立像などは重要文化財。寒い中、ご住職の講話を聞く。「自利・利他 円満 少欲 知足」「己が身を引き比べて、殺すな、殺させるな、殺すことを見逃すな」という仏陀の言葉の解説が寒さとともに身にしみた。続いて奈良二月堂へお水送りの寺・若狭神宮寺へ。神仏両道の寺として明治時代以降も生き残った珍しい寺だ。此処での住職の講話は延々40分続いたろうか。大抵は正座で終わるのに我慢できずに途中で胡坐に変えた。最後に庭園と檜一本造り阿弥陀如来座像の萬徳寺へ。


庭園と檜一本造り阿弥陀如来座像の萬徳寺


 昼食は小浜湾に面した季彩の宿花椿でとる。本格的な懐石料理で一般宿の夕食のようだ。こんなに贅沢で今日の夕食は洋食に変えたいと添乗員に伝えたが、20時以降になるといわれて諦めた。

続いて奈良二月堂へお水送りの寺・若狭神宮寺へ


 午後は舞鶴港の舞鶴引揚記念館と港を見下ろす高台の展望台まで歩いた。岸壁の母の舞台となったところである。記念館は月曜日が休館日だが、年末年始も休館日らしい。今日の宿泊地は宮津ロイヤルホテル。天橋立の手前で宮津湾の東側に位置する。二日続きの快晴にガイドさんは、しきりに「弁当忘れても傘忘れるなという丹後地方の独特の気候は、どうしたのかしら」とのたまう。
 
 宮津ロイヤルホテルの部屋は、洋室のところを無理に和室に変更していただいた。実は私は腰が弱く、柔らかいベッドが苦手で腰を痛めるのを恐れていた。それに自前の枕が無くては休めないのでマイ枕を持参しての旅行だった。和室はごく平凡な一般的な10畳室。同行の妻は昨日のように備長炭いやしルームだったかも知れないのにと残念がった。大浴場は沸かし湯で、露天風呂温泉岩風呂「宮の湯らゆらおんせん」は、ナトリウム-塩化物強塩冷鉱泉で加温・加水・循環・塩素加入温泉で塩素臭がぷんぷんで、これでは温泉とはいえない代物だ。せめて、昨日の宿のように加温・源泉掛け流しにして欲しいものだ。
 夕食は地下一階の和式宴会場の大江でいただいた。胡麻豆腐、前菜、吸い物、鯛松皮造り・トロなどのお造り、棒鱈・京芋・筍などの煮物、甘鯛おぼろ昆布、伊勢海老練玉焼気、鯛かぶら、蟹の酢の物、赤飯に白味噌汁、デザートにメロン・苺。続けての和食では美味でも感激が薄れる。

 食後売店で丹後ちりめんのネクタイに興味を持ち、お好みの明るいデザインについにゲット。21時からの吉本興業のタレントによる新春初笑いコンとでそこそこに笑い、ビンゴを楽しんだが当たりは全くだめだった。

伊根湾に沿って230軒の舟屋が立ち並ぶ

 翌日バイキング朝食の後、8時30分に出発。今日は小雨模様で、ついに流石の天気男の私の天気運も尽きたか。
 最初の観光地は、丹後半島北東の伊根の舟屋めぐり。一旦天橋立を通過しする。
 周囲5kmの伊根湾に沿って230軒の舟屋が立ち並ぶ重要伝統的建物郡保存地区を30分間の遊覧船に乗る。観光客が餌を差し出す指すれすれについばむ飛翔の様は圧巻だ。舟屋は穏やかな湾独特の特性を生かした2階建ての建物で、一階は作業場と船着場、二階は生活の場として使われている。
 天橋立に戻り、天橋立の笠松公園へ向かう。小雨が降り続き、お土産処の松井物産専用駐車場にバスをつけ、店のガイドさんに引率されて、ケーブルで笠松公園へと登る。リフトは冬季間は営業を休止している。
 霞みかかる天橋立の股覗きをしてみる。体を支える鉄柱が用意されていて、若者はそれを頼らずに股覗きをする。中には股除きで体を前かがみになって、一回転してしまう人もいるそうだ。
 しばらく自由時間があったので、妻は松井物産でお買い物、私は下って丹後一の元伊勢「籠神社」を参拝し、お札をいただいてきた。

股覗きをする

 車で移動し、阿蘇の海に面するホテル天橋立で昼食となる。ホテル本館ではなく、オーベルジュ天橋立の一階「レストランピュール」でフランス料理だ。海に面した窓の右手に天橋立が見える。
 フランスの伝統にシェフ西原氏のオリジナリテイを加えた一品の品々。ポタージュスープ、鯛のパン粉付け焼き 白ワイン風味のクリームソース添え、牛フイレ肉のポワレ ソースジャポネーズ、季節のサラダ、デザートにコーヒー。
 食後は皆、徒歩5分の智恩寺文殊堂に散策に出かけたが、私はホテルの温泉大浴場に入浴を頼んだ。「三人寄れば文殊の知恵」で有名な智恩寺は、日本三大文殊に数えられ知恵授けの神様で、受験シーズンには賑わうという。
 ホテル天橋立フロントでフェイスタオル・バスタオルをいただいて、2階の浴室フロア「神々の遊湯 天橋立温泉」へいざなう。脱衣所から浴室入り口を入ると、右手に「天の土」蒸し風呂がある。韓国の「天気土」を日本で初めて採用し、またオーストラリア産の「ラジウム含有鉱石」を使用した温熱療養効果のある進取のサウナ。右手は神々のお休み処「ソルトピット」。これはハンガリーで呼吸器系疾患や花粉症などアレルギー疾患の治療に使われるもので、岩塩・天気土の相乗効果で癒す施設だ。そして大浴場、奥の海に面した露天風呂が続く。

ホテル天橋立
 日本三景「天橋立」がイザナギ、イザナミの神様が逢瀬を重ねた「天の浮橋」であったとの日本神話をもとに、「神々の遊湯」をテーマにした構成という。腰掛け湯、大浴槽の「国生みの湯」、寝転び湯と続く。温泉は加温・循環・塩素殺菌で塩素臭がかすかにする海に面した露天風呂は、木の湯縁で柔らかいイメージの浴槽で、手前に陶器壺湯が二つあり、これは源泉掛け流しの湯だ。
 源泉は32.2℃の含放射能・鉄(U)‐ナトリウム−塩化物泉で温く薄い茶色をしている。温泉にこだわる人の選択肢を用意してくれるのはありがたい。女性用の「日向の湯」(もたれ湯)、大浴槽「スサノオの湯」、露天の「月読みの湯」はまた異なるイメージの浴槽だ。 脱衣所の隣には女性にうれしい「パウダールーム」や「アロマテラピーサロン」がある。温泉の泉質の分析書を見ると、陽イオンでナトリウムが1g中5,058mg、カリウムが122mg、マグネシウムが496mg、カルシウムが364mg、第一鉄イオンが36mgと重金属の比重がとても高い。しかも陰イオンで塩素イオンが8,667mg、硫酸イオンが1,192mg、炭酸水素イオンが242mgと特異さを示している。

 温泉の効能は、神経痛、リウマチ、筋肉痛、打ち身、慢性消化器病、痔疾、冷え性、火傷、慢性皮膚病、慢性婦人病、痛風、高血圧症、動脈硬化症、高血圧症、慢性胆のう炎、胆石症など。


 天橋立温泉は、私の温泉巡浴1148湯目の温泉になる。13時40分集合時間にようやく間に合わせて、文殊堂に行っていた妻と合流しバスに乗り込む。午後は居眠りをしているうちにJR福知山駅へ到着。京都駅で新幹線に乗り換え東京に戻る。(2006.1)


温泉巡浴の旅

マツノヒデマサの海外温泉珍道中


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竹生島へ行く  012
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宝厳寺唐門   030
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本堂・弁才天堂 019
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舟廊下     038
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都久夫須麻神社本殿 041
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ヨットが並ぶ       057




お琴と尺八の生演奏付 089
 





明通寺    099
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三重塔も   110
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若狭神宮寺  123
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若狭神宮寺  120,
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船屋は  172
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萬徳寺    133
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股覗きをする 176
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