海外巡浴珍道中マツノヒデマサの温泉旅日記
2006年8月8日〜15日 



中欧ハンガリー オーストリア チェコ巡浴紀行


その2 オーストリア・チェコ
《オーストリア》
 ウイーンの近郊南26kmにあるバーデンは昔からの保養地である。ハプスブルグの時代から王侯貴族が訪れ、ベートーベン、モーツァルト、シューベルト、ヨハン・シュトラウスも滞在した。源泉は14ヶ所あり、泉温は30〜36度の硫黄泉で湧出量は1日400万リットルという。効能は神経痛、リウマチ、関節疾患、傷併発症、中風、皮膚病、運動機能障害など。
《チェコ》※本文末尾に記載





ウィーンローカル鉄道
座席風景


屋外温泉プール


ウォータースライダー


ポスター


ベートーベンハウス


プラハ城


カルル橋

     
 8月10日、国境を越えてバスでウィーンに18時45分に到着した。最初の見学地は自然博物館屋上からの展望で、現地ガイドが1階の受付で待っていた。屋上はこの期間の週末のみの公開される。階段やエレベーターを乗り継いで屋上に向かうのだが、博物館の廊下や空いている研究者の部屋を垣間見ることが出来たので、少し好奇心を感じた。屋上からは王宮、シュテファン寺院、ウィーン大学、ヴォティーフ教会、市庁舎、国会議事堂などが一望できる。屋上の避雷針を背負った彫像達を真近に見ることができ面白い。

ウィーンローカル鉄道

 8月11日、午前はウイーン市内観光、午後はフリータイムで、私は予定通りウイーンの郊外バーデンへ行くことにした。午前中ウイーン市内観光の案内をしていただいた日本人ガイドに鉄道の切符の買い方やドイツ語での質問などをメモ用紙に書いてもらう。
 昼食の場所からオペラ座まで徒歩10分、まず切符を買いに行く。私鉄のウイーンローカル鉄道(WLB)の改札口は無人と聞いていたが、ここでは有人の窓口があった。そこでメモを見せて何とか切符は手に入れる。片道4.5ユーロ(1ユーロ141円)、14時10分発ですぐに空いている座席に座る。次の駅を出発してから「乗車したら車内の自動検札機にキップを差し込んで検札を受けるんだった」と慌てて差し込むと、その動作を見ていた隣席の新聞を読んでいた老人も同じように検札を済ませ戻ってきて、お互い顔を合わせてにやり。車体のカラーは黄色に窓枠周辺がブルー、車内の座席は通路を挟んで、向かい合わせ2席と4席のテーブル席だ。郊外へ出るともう田園風景で40分もすると右手は丘陵地帯で、ぶどう畑が目立ってきた。1時間ほどで賑やかなバーデン駅を過ぎて、終点ヨーゼフ広場に到着する。
 風に運ばれて硫黄の香りが漂ってくる。駅前の広場には噴水のように温泉湧出口から注ぐ池が設置されている。周りは色あざやかなパラソルが林立するレストランとレトロ調の建築群が王侯気分にさせてくれる。中心地にはオーストリア有数のカジノと会議場を持つクーァハウスと温泉センターのレーマテルメ・バーデンがある。

野外温泉プール

 駅と反対側のシェヴェヒャート川に沿って15分も歩くと野外温泉プールがある。反対側はバラ園に囲まれ、フランス式のローズガーデンが一望できるホテルシュロスヴァイカースドルフ。プール入り口でキャビン代を含め一人5.9ユーロを支払い、隣接2階建てのキャビン室2階へ行く。鍵係りの女性がいて鍵の開閉は彼女がやってくれる。貴重品ロッカーは1階にあり、1ユーロ別途かかる。
 とても広いプールで、正面に温泉シャワー、中央2ヶ所に泉温36度位の円形の暖かい入浴槽、左端にはウォータースライダーがある。プールは32度くらいで冷たい。ガイドでは川沿いに人口砂浜があると記されていたが、今は無いようだ。水着に着替えて、8穴温泉シャワーを頭から浴びる。
 この湯が一番源泉に近いのか硫黄臭がする。プールの温泉水は冷たい。私は早々に温かい円形の浴槽に入って、しばらく周辺の様子を伺う。連れはゆうゆうと長い距離を泳いでいる。端にあるウォータースライダーでは時々小さい子供とお年寄りが高い階段を登って挑戦している。私も挑戦することにした。温まった体で外気にさらすと寒い。ぶるぶるしながら階段を登り、一気に滑り落ちる。開放的なこともあるがそれほどの恐怖感は感じなかった。
 結局、1時間ほどいろいろの浴槽を試してキャビンに戻った。キャビンの壁にバーデンのカラーポスターが貼ってあり、記念に何とか譲っていただけないか、入り口の職員に頼んでみる。若い職員はキャビンまで行って、はがせるかを試してみたがだめだった。「予備が事務所の片隅にもありませんか?」とボディランゲージで執拗に粘ってみたが、「上司に諮ってみたいが時間がかかる」との返事(のよう)。残念だが諦めて、野外温泉センターを後にした。
 ヨーゼフ広場に戻る途中、駅北側にあるベートーベンハウスに立ち寄ってみた。ベートーベンは交響曲「第九」完成に至る時期に住んでいた家が博物館(入場料は2.7ユーロ)になっている。入り口のガラス棚には写真や実際に使用していたコップなどが収められていた。2階にはベートーベンが実際に弾いていたピアノがある。ベートーベンの蝋人形のある部屋があるようだが、時間が無いのでヨーゼフ広場に戻り、17時発の電車に乗り込む。

チェコ・プラハ近郊の温泉事情

 8月12日、ウイーンのホテルを午前8時に出発して、北へ北へと約205kmバスを走らせる。国境を越えて、チェスキー・クロムロフに着いたのが、12時30分。添乗員の金枝さんの案内で観光と魚料理の昼食をいただく。さらに北上し、チェコの首都プラハに到着したのは17時30分。ブルタワ川沿いに広がるプラハは、「黄金の町」「百塔の町」と呼ばれ欧州でも最も美しい街並で、1993年世界遺産に登録された。
 チェコは北海道ほどの広さで人口1020万人。1000年を越える時を刻む建築物が残り、12ヶ所の世界文化遺産が登録されている。翌日はホテルを8時に出発してボヘミアの古城カルルシュテインに向かう。午後は市内に戻り、プラハ城、ヴルタヴァ川に架かるプラハ最古の石橋・カルル橋、旧市街広場、旧市庁舎を観光する。 チェコでの滞在は自由時間が少ないため残念ながら諦めた。チェコには37ヶ所の温泉地がある。チェコ・プラハに近い温泉地を下記の通り紹介する。

 プラハから西へ約120kmにチェコ最大の温泉町カルロビ・バリは1350年に神聖ローマ帝国皇帝カレル4世によって創設された。17世紀初頭に営業していた民間の温泉宿は200を越えていたという。12ヶ所ある源泉は42〜73度炭酸泉・アルカリ泉・塩素泉と種類が豊富で万病に効くといわれる。最大の源泉「ブジードロ」は15mもの高さに噴出している。効能は消化器系疾患、新陳代謝異常、運動器官の疾患、糖尿病、痛風、肝臓、胆嚢病、腫瘍性疾患の治療に効能がある。主として飲泉による温泉治療となる。
 プラハの東約50kmにポジェブラディがある。1905年城の庭に飲料水を求めて地下を掘った時に発見された割に新しい温泉。1908年より、温泉町として開発され海外でも知られる存在となった。心臓、血管、動脈疾患、高血圧、糖尿病、脊髄の疾患の治療に利用されている。
 プラハの北西約80kmにテプリツェ・フ・チェハーフがある。テプリツェ・フ・チェハーフはチェコ最古の温泉で、中世から知られている。有名な温泉施設は、皇帝の温泉館、石の温泉館、ベートーベン温泉館、新温泉館、民間のクリニックCLT、テレジァ温泉館「ドゥビー」。ここにはゲーテ、ベートーベン、ショパン、リストなど多くの政治家や芸術家が訪れている。効能は血管疾患、神経疾患、精神病、運動器官の疾患などの治療に効果がある。
※参考資料:チェコ共和国政府観光局資料、池内紀著「西洋温泉事情」


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中欧ハンガリー・オーストリア・チェコ その1