湯治療養温泉
奥阿蘇・地獄温泉 清風荘 
熊本県阿蘇郡長陽村河陽
 
 世界一のカルデラ地形の活火山・阿蘇山の南麓、標高750mにある秘湯、今でも湯治場として活躍している。南阿蘇鉄道ふれあい温泉駅からバス、地獄・垂玉温泉行き終点まで
15分、下車徒歩8分。九州自動車道熊本インターで下り、国道57・325号線約1時間。
 清風荘にある文化5年の巻物が残るほど湯治宿としての歴史が古く、藩政時代は帯刀の武士か僧侶、山伏しか入湯が許されなかった格式ある湯治場だった。今でも九州随一の利用客を誇っている。敷地も広く、裏山の源泉には温泉地獄があり、いつももうもうと湯煙がたち、硫黄臭が漂う。地獄の名の由来は、ここからきた。

地獄温泉清風荘1
 明治中期に建てられた本館30部屋、山荘風の別館10部屋、自炊・湯治15部屋からなり、さまざまな客層を受け入れている。

 宿泊料金は、本館(トイレ・洗面所共用)ふすま仕切りの部屋・鍵なしの部屋が、平日@7,000円から、別館(トイレ・洗面所付き)が@1,2000円から。湯治が@
7000〜、3泊目から@6,000〜、自炊が自炊室のガス、電気等の使用料を含め素泊まり@3,000〜。野菜等の食材は、火・木・土に移動販売車が来るので、そこで調達か自分で買いに行っている。昭和56年頃には自炊部屋が50部屋あったと言うから、まだここでは湯治が盛んだといっても20年で3分の1に減少したことになる。
地獄温泉清風荘2
 まず温泉に入らせてもらう。すずめの湯は男女別の内湯があり、幼児がもっと入っていたいと駄駄をこねている。露天の4つの湯船は混浴で、すでに年配の女性が入浴中で、ついそこは避けて離れた湯船に入る。乳白色の湯は、酸性硫化水素泉で足元からぶくぶく湯が涌き出てくる。底無しの泥湯だったところで、そこには丸太が渡してある。先に入っていたおじさんは「隣はもっと熱いんだよ」と教えてくれる。
地獄温泉清風荘3
他に女性用露天風呂の仇討ちの湯、男性用露天風呂の仇討たれ湯家族風呂、元湯、明礬泉の新湯がある。皮膚病、アトピー、むち打ち症、骨折、神経痛、リウマチ、打ち身に特に効能がある。

仲居のまゆみさんは「アトピーで2週間療養して、きれいになって帰った人もいます。」と皮膚病に効くと強調していた。腰痛、神経痛で1週間〜1ヶ月と長期療養者も珍しくないという。

地獄温泉清風荘4

食事は和風レストラン、曲水庵で野鳥いろり焼きをいただいた。ここは永年集めた300年以上の木材をふんだんに使ったどっしり落ち着いた食事処。いろりに串で刺したやまめ、鹿肉、里芋、野鳥のつぐみやすずめ、手作り豆腐、里芋など野趣豊かな食材で、昔を偲びながらの食事となった。
地獄温泉清風荘5

 料理はその他に、しし料理、きじ料理、しか料理、清風荘特製地獄鍋などがある。
 相棒のU氏は、すずめをほうばりついたとき、虫歯のかぶせた冠が剥がれ、その後食事の度に痛い思いをすることとなった。彼は地獄温泉に来る手前に立ち寄った垂玉温泉で坂道を滑って、足首を捻挫したばかりで、「とんだ地獄温泉だ」とぼやくことしきり。
 また、料理は平安時代に貴族が楽しんだという“曲水の宴”に習い小川に料理を載せた舟を浮かべて運ぶという風雅さだ。他に本館で、和食会席や雉や鴨のロースなどのフランス料理も賞味できる。地獄温泉でフランス料理とは、なかなかハイカラでイメージに合わないが、地獄にはなんでもあると言うことか。
   (取材松野)

ところ 熊本県阿蘇郡長陽村河陽
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TEL0967-67-0005

 

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