マツノヒデマサの海外温泉巡浴の旅

台湾温泉巡浴6ヶ所
珍道中・念願の緑島へ行く!
2004年1月3日〜6日
4日目
1月6日(第4日目) 今日は最終日で、空港へのパックツアー送迎車のホテルへの迎えは、12時30分に決められていた。今日の行き先は、朝食事に決めた。まだ行っていない烏来(ウーライ)温泉に行きたかったが、半日では間に合いそうにない。1995年12月に、吟松閣(インソングー)に宿泊したことのある新北投温泉を再訪することに決めた。
     

 MRTが開通したので、ホテルから近い西門駅から乗り、台北車站で淡水線に乗り換え、北投でさらに支線の終点新北投に出る。約40分で行くことができる。派手な駅の門を出て、右方向の見覚えのある温泉街に向かう。

  
 新北投は狭い谷間の行灯風の街灯が並ぶ坂道の川沿いに、ホテルや公園、露天風呂、地獄谷が並んでいる。上流から白濁した湯が流れ、硫黄臭が漂う。まずは北投温泉博物館に向かう。かつての北投温泉公共浴場を修復したもので、1998年に博物館としてオープンした。
   
 1600年頃明朝末期、スペイン人とオランダ人が来て、原住民との間で硫黄の交易が始まり、1697年硫黄の採掘が始まる。1894年ドイツの硫黄商人オウリーが温泉を発見する。1896年大阪商人平田源吾は、台湾義勇兵と日本軍が戦っていた軍政混乱期にゴールドラッシュに沸く北部に鉱脈探索中、負傷した傷を治したのを機に、北投に初めて温泉旅館「天狗庵」を開いた。以来、日本統治時代に官民上げての温泉開発が行われた。

 1913年、日本の伊豆山温泉の方式で北投温泉公共浴場を作った。当時としてはアジア最大の公共浴場だった。その後その建物も朽ち果て、1994年北投小学校の野外学習の際に発見された。この博物館は700坪二階建てで、1階レンガ造り2階木造、外観はヴィクトリア様式、浴室には回廊とステンドグラスがある。

国宝級の「北投石」
 2階は畳みの大広間となっている。大浴場は長さ9m、幅6m、深さ40cm〜130cm、浴槽列柱の装飾は豪壮な雰囲気だ。ステンドグラスは「雪を冠した富士山」「湖面を泳ぐ白鳥」の図柄でいかにも日本的。圧巻なのは、一階奥に鎮座する国宝級の「北投石」だ。 地獄谷から流れる熱水の中に含まれる硫黄鉛とバリウム、ラジウムなどの鉱物元素が北投渓の岩石に付着結晶したもので、横50cm縦70cmはあろうか。91年前の遺跡は、実に見事に保存されている。9時から17時まで(月・祝日は休館)無料で公開されている。ボランティァの人々により清掃・管理されているようだ。

地獄谷
 上流にある地獄谷は以前に比べて、随分と整備されアスファルトで舗装、手すりもきれいになった。時間を気にしながら、最後に100年の歴史を持つ共同浴場「瀧乃湯」に入浴することにする。屋根瓦に白い壁に赤字の温泉マークが目立つ純和風建築だ。入り口で入浴料70元、タオル40元を支払うと番台の怖そうなおじさんに「写真は駄目だよ」とのっけから言われる。勿論、男湯に入ると、壁側に更衣棚がありそこに着物や靴を置く。昔ながらの共同浴場である。男ばかりが15人ほど思い思いの姿態で入浴中、とどのように寝そべっているもの、柱に背中からドンドンと打ち付けているもの、膝を突いてかがみ、頭に湯をかけている者、体操をしているもの・・・。3mに5mの石造湯船が二つあり、43度くらいの温湯と48度くらいの熱湯と相当の温度差がある。源泉は68度という。会津若松から来たという日本人に声をかけられた。
 Y氏は7年前から喘息からアレルギー性皮膚炎、薬物害に悩み、どの治療法も駄目でついにラジウム温泉にたどり着いたという。5年前から毎年10日間治療に来るという。「この湯は玉川温泉に良く似て、口に含むと同じ味がするんだ」とY氏の話に、私も奥の湯口から湯を口に含んでみる。PH 1.4の強酸性泉の強い酸味苦味に口が曲がるよう。新北投温泉は、秋田県玉川温泉のラジウムの数倍ものラジウムを放射しているとの研究者の声もある。肌がぴりぴりととても荒い湯だ。15分ほどの入浴でしばらく着衣ができないほど、体が火照ってしまう。
 ここの温泉は「地獄谷」を源泉とするラジウム温泉の「青」の湯といわれ、陽明山を源泉とする弱酸性単純泉の「白」の湯の二種類がある。「青」の湯は「瀧の湯」の他「露天温泉浴場」(スパ施設で水着着用)。ほとんどのホテルは「白」の湯を引いている。新秀閣大飯店のみ、「青」「白」両方の湯を引いている。最近、豪華なクアハウスが誕生してなかなかの人気のようだ。地獄谷のすぐ近くの水都北投温泉会館、花月温泉生活館は設備が良い。


新秀閣大飯店
「阿宗麺線」の細麺

 4日目の湯巡りも無事終わり、西門駅を降りてホテルに戻る途中、立ち食いの麺処「阿宗麺線」に行列しているのに目が止まる。私も並んで食べてみる。使い捨ての容器に鳥出汁の効いた内臓入りの細麺で、味付けがしょっぱい。れんげですくうがとても熱く、口内が火傷しそう。台湾人はそばにある二種類の香辛料を皆つけて食べている。

 こうして4日間の温泉めぐりが、湯疲れと乗り物疲れで終わろうとした台北空港で思わぬプレゼントがあった。チェックイン時に行列をなして混雑していた時、「手荷物を預けない人は、こちらに〜」とか言う様子にすぐにカウンターを移動し、手早く手続きが終了。機内に乗り込むと19番Cの座席が見つからず、スチワーデスに聞くと、「こちらです」と指を指した先は、2階の座席のビジネスクラス。横4列の余裕の座席でのフライトで気分の良い帰宅となった。(2004.1 マツノヒデマサ)

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